不妊症の原因と治療法:30〜40代に知ってほしいこと

🕒 2025-07-24

不妊症は避妊せずに1年以上妊娠しない状態を指し、原因は女性側、男性側、または両方にあります。特に30〜40代では卵子の質低下や妊娠合併症リスクが高まり注意が必要です。検査や治療法は多岐にわたり、早期受診と生活習慣の見直しが妊娠成功の鍵となります。精神的サポートや職場との両立も重要なポイントです。最新の公的助成制度を活用し、専門機関と連携しながら前向きに妊活を進めましょう。

不妊症は避妊をせずに1年以上継続的に夫婦生活を行っても妊娠に至らない状態を指します。日本では約6組に1組のカップルが何らかの不妊の問題を抱えているとされ、晩婚化やライフスタイルの変化により、その数は増加傾向にあります。不妊は決して珍しいことではなく、医学的にも多くの研究が進んでいます。早期に原因を特定し、適切に対応することが妊娠成功の鍵となります。

不妊症の原因

女性側の主な原因

排卵障害

排卵障害は不妊の最も一般的な原因の一つで、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、過度なダイエット、甲状腺疾患などが影響します。排卵が正常に起きないために受精が困難となります。

卵管障害

性感染症や骨盤内炎症、手術歴により卵管が閉塞や癒着を起こすことがあります。これにより卵子と精子の受精が妨げられます。

子宮疾患

子宮筋腫や子宮内膜症、子宮奇形なども妊娠の妨げとなる可能性があります。特に子宮内膜症は痛みだけでなく妊娠率低下の原因となるため注意が必要です。

年齢的要因

女性の妊娠力は年齢と共に低下します。特に35歳以降は卵子の質と数が減少し、自然妊娠率の低下や流産率の増加が認められます。

男性側の主な原因

精子の異常

精子の数が少ない、運動率が低い、形態異常が多いなどの問題が不妊に影響します。

精索静脈瘤

精巣周辺の静脈が拡張し血流異常を引き起こし、精子の形成に悪影響を及ぼします。

ホルモン異常や感染症

精巣機能障害や性感染症が精子形成や排出を妨げることがあります。

その他の要因と原因不明

検査で明確な異常がないにも関わらず妊娠しない場合もあります。ストレス、生活習慣、環境因子などが複雑に影響している可能性があります。

不妊症の検査内容

女性の検査

  • ホルモン検査:FSH、LH、AMH、プロゲステロンなどを測定し排卵機能や卵巣予備能を評価します。
  • 超音波検査:卵巣や子宮の状態を確認します。
  • 卵管造影検査:造影剤を使い卵管の通過性を調べます。
  • 子宮鏡検査:子宮内膜の異常を観察します。
  • 基礎体温測定:排卵日推定の補助となります。

男性の検査

  • 精液検査:精子の数・運動率・形態を評価します。
  • ホルモン検査:テストステロンなどのホルモン値を測定します。
  • 陰嚢超音波検査:精索静脈瘤や精巣の異常を調べます。

診断とカウンセリング

検査結果を踏まえ、医師が総合的に判断します。必要に応じて心理カウンセリングも実施されます。

不妊治療の種類と進め方

タイミング療法

排卵日を特定して性交渉のタイミングを調整し、妊娠率を高める方法です。排卵誘発剤を使うこともあります。

人工授精(AIH)

精子を処理し子宮内に直接注入する方法です。軽度の男性不妊や原因不明不妊に適しています。

体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)

体外で受精卵を作成し、子宮内に戻す高度生殖医療です。ICSIは精子を直接卵子に注入する方法で、男性不妊にも効果的です。

その他の治療

ホルモン療法や手術療法も個々の状況に応じて行われます。

治療費用と公的助成制度

治療費は治療内容によって異なり、体外受精は特に高額です。日本では年収制限はあるものの公的助成が受けられ、体外受精・顕微授精には1回あたり最大30万円の助成があります。自治体独自の支援もあり、確認が重要です。

不妊治療中の心理的サポート

治療の長期化により精神的ストレスを感じる方が多く、心理カウンセリングや支援グループの活用が推奨されます。パートナーとのコミュニケーションも妊活成功に大切です。

生活習慣の見直しで妊娠力アップ

  • 栄養バランスの良い食事(葉酸、鉄分、ビタミンEなどの摂取)
  • 適度な運動で血流促進とストレス軽減
  • 禁煙と飲酒の節制
  • 十分な睡眠とリラクゼーション
  • ストレスマネジメント(趣味、マインドフルネスなど)

職場での不妊治療と両立

治療のための休暇取得や勤務時間の調整が可能な企業も増えています。職場と相談しながら無理なく治療を継続することが重要です。

30代・40代の不妊症に関する特別な注意点

晩婚化に伴い、30代後半から40代で妊娠を希望する方が増えています。この年代は以下の特徴があります。

  • 卵子の数と質が低下し、自然妊娠率が減少します。流産率の増加も見られます。
  • 妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの妊娠合併症リスクが高まります。
  • 仕事や家庭との両立が必要で、精神的負担も増加しやすいです。
  • 体外受精や顕微授精の利用が増加し、早めの検査と治療開始が重要です。
  • 生活習慣の改善と心理的サポートが治療成功を後押しします。

まとめ

不妊症は多くのカップルに関わる問題ですが、適切な検査と治療、生活習慣の見直し、精神的なサポートを活用することで妊娠の可能性を高められます。特に30〜40代は妊娠しにくい傾向がありますが、医療の進歩もありあきらめずに前向きに取り組むことが大切です。医師やパートナー、支援機関と協力しながら、健康的な妊活生活を目指しましょう。