胃がんになりやすい人の特徴と予防法【医師が解説】
日本における胃がんは、今もなお高い罹患率を誇る重大な疾患のひとつです。早期発見と予防が重視される中、「どんな人が胃がんになりやすいのか」「どんな生活習慣がリスクを高めるのか」「効果的な予防法は何か」といった疑問を持つ方も多いでしょう。 本記事では、胃がんになりやすい人の特徴と、日常生活で意識したい予防策について詳しく解説します。
胃がんの高リスク群とは?
1. ピロリ菌感染者
**ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)**は、胃がん発症に強く関連すると言われています。 特に幼少期に感染すると、慢性的な胃炎や萎縮性胃炎に進行し、胃がんリスクが上昇することが知られています。
- 家族内感染の可能性もあるため、家族歴のある方は要注意です。
- ピロリ菌検査と除菌治療を受けることで、リスクを大きく減らせることが分かっています。
2. 喫煙者・過度な飲酒者
喫煙は胃の粘膜に悪影響を及ぼし、発がん性物質が胃に蓄積されやすくなります。 また、過度の飲酒も胃の粘膜を傷つけ、がんのリスクを高める原因のひとつです。
- タバコを吸う人は、非喫煙者に比べて胃がん発症率が高い
- アルコールを毎日多量に摂取する習慣のある人も要注意
3. 塩分摂取が多い人
高塩分食は胃の粘膜を刺激し、炎症を起こしやすくします。 結果として、胃がん発症リスクが高まることが報告されています。
- 漬物や塩辛、干物、加工食品を好む人は摂取量に気をつけましょう。
4. 家族歴がある人
親や兄弟姉妹に胃がん患者がいる場合は、自分自身のリスクも高いとされています。 遺伝的要因だけでなく、生活習慣が似ていることも影響しています。
5. 加齢・性別
胃がんは50歳以上での発症が多く、特に男性に多く見られる傾向があります。 年齢とともに胃の粘膜が弱くなり、がん細胞が発生しやすくなるため、加齢も重要なリスク要因です。
胃がんを引き起こす生活習慣とその影響
1. 食生活の乱れ
- 高塩分食
- 加工食品や保存食中心の食事
- 野菜・果物不足
これらはすべて、胃の粘膜に負担をかけ、炎症やがん化のリスクを高める原因になります。
2. 過度のストレス
強いストレスは胃酸分泌の異常を招き、胃粘膜にダメージを与えることが知られています。 長期間にわたるストレス状態は、胃炎や胃潰瘍、ひいては胃がんリスクの増加につながります。
3. 不規則な生活・睡眠不足
- 夜更かしや睡眠不足
- 食事時間が不規則
- 朝食を抜く
これらの習慣が続くと、胃の働きが低下し、消化機能が乱れ、がんの原因となることもあります。
胃がん予防のためにできること
1. ピロリ菌の検査と除菌
- 健康診断や人間ドックでピロリ菌検査を受ける
- 感染が確認されたら、医師の指導のもと除菌治療を行う
2. 禁煙・節酒を心がける
- 禁煙外来を利用する
- 飲酒量は適度に、週に数回は休肝日を設ける
3. 食生活の見直し
- 野菜や果物を意識して摂取する
- 塩分控えめの食事
- 加工食品・インスタント食品の摂取を減らす
4. ストレスコントロールと規則正しい生活
- 適度な運動や趣味の時間を取り入れる
- 睡眠時間の確保と、規則的な食生活
定期的な検査の重要性
1. 胃がんは早期発見がカギ
胃がんは、初期段階では自覚症状が少ないのが特徴です。 だからこそ、定期的な胃内視鏡検査(胃カメラ)やバリウム検査が重要となります。
2. 40歳を過ぎたら毎年の検診を
- 特に高リスクに該当する方は、年に1回の検診を目安にしましょう。
- 会社の健康診断だけでなく、必要に応じて専門医への相談も有効です。
まとめ
胃がんは生活習慣や感染症による影響が大きい疾患です。 高リスクに該当する方は、日々の生活を見直すことで予防につながる可能性があります。 早期発見と定期的な検査を習慣にし、健康的な生活を心がけましょう。