直腸がん手術後の排便トラブルとは

直腸がんの手術では、直腸の一部または全てを切除するため、排便に関わる機能が変化します。

術後に多い症状には以下があります：

• 頻繁な便意・便漏れ
• 排便後のすっきり感がない
• 便が少量ずつ何度も出る
• ガスと便が分かりづらい
• 下痢と便秘を繰り返す

これらは「低前方切除症候群（LARS）」と呼ばれ、術後の多くの方にみられる症状です。

排便リズムを整えるための基本

排便リズムの改善には、生活習慣の見直しが効果的です。

食事管理のポイント

• 食物繊維は控えめからスタート 術後すぐは腸が敏感になっているため、食物繊維の摂取は様子を見ながら調整しましょう。
• 発酵食品を取り入れる ヨーグルトや味噌、納豆などは腸内環境の改善に役立ちます。
• 水分補給はこまめに 脱水予防だけでなく、便を適度に柔らかくするためにも大切です。

生活リズムの整え方

• 毎日同じ時間にトイレに行く習慣 起床後や食後にトイレに座ることで、腸に「排便の時間」を覚えさせましょう。
• 軽い運動を取り入れる 散歩やストレッチなど、腸の動きを促す運動が効果的です。
• 十分な睡眠とストレス管理 自律神経を整えることが、排便リズムの安定につながります。

使いやすい市販薬・サプリメントの選び方

術後の排便管理には、市販薬やサプリメントの活用も一つの方法です。

市販薬の例

• 整腸剤（乳酸菌製剤） 腸内環境を整える目的で、継続して使いやすいものです。
• 便秘薬（刺激性でないもの） 酸化マグネシウムなど、腸に負担をかけにくいものを選びましょう。
• 止瀉薬（下痢止め） 下痢が続くときは、ロペラミド系などを短期間使うこともあります。

サプリメントの選び方

• 乳酸菌・ビフィズス菌入り 体に合った菌種を選ぶのが大切です。
• 水溶性食物繊維含有タイプ イヌリンや難消化性デキストリンなどは、便を適度にまとめる働きがあります。

※利用前には医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

日々のコツと記録のすすめ

自分の排便パターンを知る

• 排便日記をつける 食事、排便の回数・性状・時間、体調などを記録すると、自分に合った管理法が見つかりやすくなります。

生活の中で心がけたいポイント

• 無理せずトイレに行く 我慢せず、行けるときに行くのがベストです。
• 安心できる環境作り 予備の下着やケア用品を持ち歩くなど、万が一に備えておくと安心です。

焦らず、自分に合った管理を

直腸がん手術後の排便管理は、**「試行錯誤の繰り返し」**です。焦らず、日々の変化を記録しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。

何よりも大切なのは、一人で悩まず、必要に応じて医療者に相談することです。排便の悩みが和らげば、生活の質（QOL）は必ず向上します。