不妊症は、避妊をせずに正常な性生活を送っているにも関わらず、1年間以上妊娠しない状態を指します。女性、男性ともに原因がある場合があり、不妊症は医療的な診断と治療が必要な問題です。適切な診断を受け、治療方法を選ぶことが重要です。

不妊症の原因

不妊症の原因は非常に多岐に渡ります。女性と男性、それぞれに起因する場合がありますが、時には両方の原因が関与することもあります。

女性不妊症の原因

女性の不妊症の原因には、年齢、ホルモンバランス、排卵障害、子宮内膜症、卵管の閉塞などが挙げられます。特に、年齢が高くなると、卵子の質や数が減少し、妊娠率が低下します。

• 年齢による卵巣機能の低下 35歳を超えると、卵子の数と質が急速に低下します。特に40歳を超えると妊娠が難しくなることが多いです。
• 多嚀胞性卵巣症候群（PCOS） 月経不順や排卵障害を引き起こし、妊娠を難しくする要因となります。
• 子宮内膜症と卵管閉塞 子宮内膜症は卵管や卵巣に影響を与え、妊娠しにくくなります。また、卵管が閉塞すると、卵子と精子が出会うことができず、受精ができません。
• ホルモンバランスの乱れ ストレスや不規則な生活習慣が原因でホルモンが乱れると、排卵に問題が生じることがあります。

男性不妊症の原因

男性不妊症は近年増加しており、精子の質の低下や精子の運動能力の低下が主な原因です。生活習慣の改善が重要です。

• 精子の質の低下 精子の数が少なく、運動能力や形態が異常だと受精が難しくなります。
• 精索静脈瘤 睾丸の血液循環が悪化することで、精子の生成が妨げられ、不妊症を引き起こします。
• 生活習慣の影響 喫煙、過度の飲酒、肥満などが精子の質を悪化させ、妊娠を妨げる要因となります。
• 環境因子 化学物質や環境ホルモンも精子に悪影響を与えることがあります。

不妊症の診断方法

不妊症の治療を始めるためには、まず原因を特定することが必要です。女性と男性それぞれに適切な検査が行われます。

女性の診断方法

• 基礎体温の測定 基礎体温を毎日測定し、排卵日を確認します。
• ホルモン検査 血液検査でホルモンのレベルを測定し、排卵障害やホルモン異常を確認します。
• 超音波検査 卵巣や子宮の状態をチェックし、異常がないかを調べます。
• 卵管造影検査（HSG） 卵管が閉塞していないかを調べる検査です。

男性の診断方法

• 精液検査 精子の数、運動能力、形態を調べ、精子の健康状態を確認します。
• ホルモン検査 男性ホルモンのレベルを測定し、精子の生成に問題がないかを調べます。
• 超音波検査 睾丸や精索静脈瘤の有無を確認するための検査です。

不妊症の治療方法

不妊症の治療は原因によって異なります。以下は代表的な治療方法です。

薬物療法

• 排卵誘発剤 例えば、クロミフェンなどを使用して排卵を促進します。ホルモンバランスが乱れている場合にも効果があります。
• ホルモン療法 女性ホルモンや男性ホルモンの補充を行い、正常な生理機能を回復させます。

人工授精（IUI）

人工授精は、精子を直接子宮に注入する方法です。精子の質が低い場合や女性に軽度の排卵障害がある場合に有効です。

体外受精（IVF）

体外受精は、卵子と精子を体外で受精させ、その後胚を女性の子宮に戻す治療方法です。卵管が詰まっている場合や、卵子や精子に問題がある場合に効果があります。

顕微授精（ICSI）

顕微授精は、精子の運動能力が低い場合や、卵子が精子を受け入れない場合に、精子を直接卵子に注入する方法です。

不妊症治療費用

不妊症治療の費用は治療方法やクリニックによって異なりますが、以下に一般的な費用の目安を紹介します。

• 薬物療法 月額1万円〜5万円程度。治療に必要な薬剤やホルモン補充によって異なります。
• 人工授精（IUI） 1回あたり5万円〜10万円程度。精子の質や女性の状態によって費用が変動します。
• 体外受精（IVF） 1周期あたり30万円〜50万円程度。技術や必要な治療が追加されると費用が上昇します。
• 顕微授精（ICSI） 1回あたり50万円〜70万円程度。精子の問題が重度である場合に適用されます。

治療が長期にわたる場合もあるため、治療費用の負担を軽減するために、医療保険や助成金を活用することも一つの選択肢です。

不妊症治療中の心理的サポート

不妊症の治療は身体的負担だけでなく、精神的にも大きな影響を与えます。治療が思うように進まないと、精神的なストレスや不安が増すことがあります。このため、心理的サポートが重要です。専門のカウンセリングを受けたり、同じ悩みを持つ人たちと情報を共有したりすることが、心の支えになります。

生活習慣と妊娠力

妊娠力を高めるためには、生活習慣の改善が必要です。以下の点に注意し、健康的な生活を心がけましょう。

• バランスの取れた食事 栄養価の高い食べ物を摂取し、偏った食事を避けることが大切です。
• 適度な運動 過度な運動はかえって体に負担をかけることがありますが、軽い運動やストレッチが効果的です。
• 禁煙・節酒 喫煙や過度の飲酒は妊娠力を低下させるため、妊娠を考えている時期は避けるようにしましょう。
• ストレス管理 ストレスがホルモンに影響を与え、妊娠を妨げることがあります。リラックスできる時間を作り、心のケアも大切です。

結論

不妊症は身体的な問題であると同時に、精神的な影響も大きな問題です。しかし、適切な治療法と心理的サポートを受けることで、多くのカップルが希望を持ちながら治療に取り組んでいます。不妊症は決して終わりではなく、希望を持ちながら前進することができます。